第18回:子ども月間① 子どもの声を拾うしくみづくり

会議レポート

Pocket

●日時:2020年10月6日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB会議(ZOOM)
●参加団体:22団体(運営7団体含む)
●参加人数:29名(運営スタッフ13名含む)

1.「子ども月間」第1回情報提供

■コロナ禍の子どもの声を拾うしくみづくり「まちづくりへのチャレンジ」
(NPO法人こどもNPO/NPOおたがいさま会議コーディネータ:根岸恵子氏)

10月「子ども月間」のコーディネートをさせていただいている。本日は、第1回おたがいさま会議で話題提供した続編(第1回会議レポート:https://otagaisama-aichi.xxxx.jp/mtg-1)と、何を大切に活動しているかのお伝えしたい。「子ども」を焦点に、自分の身近でできそうなことを自分のまわりの環境から考えてもらえるとよい。

子どもだけに関わらず、コロナ禍では普段抱えている課題や現状が表出する。子どもは社会的に弱い立場にあるため、その現象がより強く出る。こどもNPOは、子どもの基本的人権を保障するため1989年に国連総会で採択された「子どもの権利条約」に基づく活動をしており、普段から本来あたりまえであることが奪われている子どもの現状を発信している。コロナ禍においては、休校宣言があってから現在までの半年間、600~800件以上の子どもたちの声を拾い続けている。「ごはんが食べられる場所を緊急につくってほしい」「昼夜逆転している」という声や、中学生の主食がほぼ菓子類であったり、家庭内労働を負う中高生のヤングケアラーにとっては逃げ場がないという状況もあった。中学年以上は割と声を挙げていた一方で、低学年や幼児の声が拾えなかったことに危機感も感じた。保護者からは「このままだと虐待しそうで限界」という声もあった。家庭の状況が子どもたちにも大きく影響する。日ごろから子どもの声を聴く意識のある大人が近くにいる子どもは、声が拾えたり、地域の共助の中で何とか生活できることが多いが、安心して打ち明けられる大人が近くにいない子どもは、声を挙げることも難しい。

活動としては、子どもの声を拾って必要物資を届ける「こども特急便」、インターネットを活用した子どもの現状調査、届いた声から虐待防止の取組みなどを実施した。コロナ禍の中で子どもたちにアウトリーチをするため、公園などに出向くこともあった。地域の児童館や子育て支援拠点、行政、社協のキーマンとつながって様々な情報を得て協力者も募った。中川区では、独自に子どもの現状を把握するチェックシートを、なごや子ども応援委員会のスクールソーシャルワーカーから各学校の担任の先生に配っていただいた。先生方としては、チェックがあった場合の扱いに悩むため、教育委員会と一緒に整理し、子どもの声を拾った。民生委員やCSO(Civil Society Organization:市民社会組織)などは、事業や訪問活動のストップを言われていたが、「自分が行かないと対象者の身体能力等が落ちてしまうため行き続ける」という方もたくさんいた。私たちは子どもたちの現状を知るため、そういった方々と一緒になってSOSを拾いに行き、訪問先の事例よっては、役割分担を協議する会議も行った。駄菓子屋は様々な拠点にあり、店主が人生相談を受けている。兄弟がたくさんいる中で一人だけ虐待を受けているケースなど、児童相談所よりもヘビーな案件を店主一人で抱えていることもあり、相談先をどうしていくか一緒に考えることもしてきた。そういった声を拾う仕組みづくりを継続しており、希望者には食材やお弁当、非常食などを届けることもあった。乳幼児世帯へ必要としているものを届けたりもしたが、ただ話を聞いてほしいという要望もたくさんあった。

権利の語源は「あたりまえ」であり、子どもの権利として「あたりまえのことをあたりまえに自覚して行使する」ことが、悲しいけれどできていない現状がある。子どもたちは家族等から暴力を受けていても、それがあたりまえだと思い、あたりまえではないということ気づいてもらうためには何度も対話をする必要がある。普段から権利を奪われ続けると、間違ったあたりまえが根付いてしまい声を挙げることができなくなる。命や成長・発達に関わる子どもたちが本来持っている権利を、大人の無理解や無関心で奪ってはいけない。コロナ禍で遊ぶ機会が殆どない中、子どもの成長に関わる遊びの大切さを理解せず、子どもたちが集まっている事象だけを見て大人が一方的に意見を押し付けるのではなく、対話が必要。権利を奪われ続けたことにより、普通にみえても自分の理解者はいないという思い込みの中で生きている子はたくさんいる。その子の意見を真剣に聴いて一緒に考え、一人でも大人を信頼できると、他の人を信じるきっかけにもなる。そういった態度の積み重ねが大切である。子どもの声を聴く時に、支援を強調し弱い存在を保護する対象としてみなすことは、逆に相手の主体性を奪うということを意識することが重要。子どもが困っている時に、こちらから先に「これができる」とマッチングを与えてしまうことで、本当に必要であるか本人が考える力を奪うし、持て余してしまうこともある。私たちが本当にすべきことは対話であり、相手の話を掘り下げて聴き、同時にこちらの想いも伝え、両方の主体性を一緒に並べてどうしていくか、コミュニケーションを丁寧にしていくことが大切。子どもたちは本来、自分たちで考えて解決する力がある。子どもは家庭や社会の一員であり、一緒に生きるパートナーとして扱い、対話を重ねていただきたいと願っている。

「届けるプロジェクト」において、支援物資や何かしてあげたい気持ちと、本当に必要な支援とのマッチングは、常に気を付ける必要があると感じた。押し付けにならないマッチング方法について、防災分野での経験等も伺いながら考えていきたい。コロナ禍のように生活環境に大きな変化が起きると、命と体を守る「安全」は考えられても、心を守る「安心」まで考える余裕がなくなる。この心を守る「安心」の部分で、私たち一人ひとりができることを、皆さんと一緒に考えたい。そのためには、子どもたちの声を聴き、気持ちを受け止める場が特に必要である。大人でも聞いてもらえた実感が安心につながる。子どもの声を聴くのに特別な技術は必要なく、お互いに尊重し合うのみ。誰もが安全で安心できる場を子どもたちと一緒につくっていきたい。

10月のおたがいさま会議は「子ども月間」で、次週以降も子どもをテーマにお話しいただく。子どものユニバーサルデザインが理解できれば、障がい者など他の様々な課題を持った方にも通じることがある。そのため、子どもだけでなく様々な分野の方に、おたがいさま会議に参加いだけるよう声掛けをお願いしたい。

□「子ども月間」今後の予定(※時間は全て16時00分~17時00分)

・10月13日(火):中高生の今「置き去りにされる困窮、学習支援の現場から」
・10月20日(火):コロナ禍 乳幼児親子への影響「生活・あそび・心とからだ」
・10月27日(火):災害時における子どもの最善の利益とは「コロナ禍の今と東日本大震災の経験から」

□質問・ご意見

・名古屋みなみ災害ボランティアネットワーク・伊藤氏
コロナ禍で親子が毎日家にずっと一緒にいるなど、家庭環境等が一変したことで、子どもの悩みや気持ちが以前と比べてどのように変化したかを教えていただきたい。

→家族関係の中で、子ども自身が一人の人として尊重されている子にとっては居心地の良い期間となったが、そうでない子にとっては逃げ場がなく更に過酷な環境となり二極化した。親子や互いの関係性の中で、あたりまえに相手の気持ちを受け止めることをしないと、生活自体が崩れていき、家を出ることになったり、より過酷な状況に陥ったりしたケースも何件かある。

・なごや防災ボランティアネットワーク昭和・小塚氏
600~800件もの子どもの声を拾う機会をどのように作ったか教えて欲しい。子どもの実態を地域が理解できていない現状に自身の力不足も感じる。親との関わり方で、どこまで踏み込むか考えることもあるが、どうしているか。

→こどもNPOは、児童館等の施設を複数運営している強みがあり、駆け込み寺のように一日6~10件の声がある。東海地域全般の声を聴くために「子どもの権利条約フォーラムinとうかい」ネットワークに企画を持ち込むなど、方々に声掛けをした。地域に状況を理解いただくために、様々なネットワークを持つ社協等で発信させていただくなど、客観的事実をまず伝えて知っていただくことをしている。また、主任児童委員や民生委員など心を砕いて活動している方と、どこに現状を伝えていくか、答えはすぐにでないが考える会も実施している。

怪我をしていた子どものケースで、本人はあたりまえだと病院に行くことを拒否したが、これまでの経過から放置できず、タイミングと判断し病院へ連れていった。親からは「虐待の濡れ衣を着せられた。社会的立場をどうしてくれるんだ」と恫喝されたが、子どもの最善の利益を守るため、感情的にならず冷静に客観的事実を伝え、屈しないことを心に決めて対応している。

・コーディネータ・栗田
災害現場でも本当に困った人ほど話に来ず、発見するために行政や社協等との連携も試みるが、なかなか難しい。子どもの場合も同様に、困っている子どもは自分からは来ないと思う。学校との連携もポイントだとは思うが、担任によって異なることもあったりする中、本当に困っている子どもをどのように発見できるか。 →中川区で主任児童委員が行っている赤ちゃん訪問など、家庭訪問型の取組みをしている所に協力いただいている。活動情報や連絡先の一覧を区役所から全戸配布してもらうなど、網を張り巡らせることを頻繁にしている。学校の先生の力も大切であるため、校長先生によく話をしに行く。学校は指導して子どもを導くことに重きをおくため、私たちの活動と機能が違ってコミュニケーションが難しい場合もあるが、理解いただくまで何回も地道に話をしに行っている。

2.グループセッションでの意見・感想等

・子ども食堂など、様々な団体が子ども支援をしているが、そこから漏れる子への危惧があり、どうするかが今後の課題である。学校との役割分担も必要。

・本当に困っている子どもは自分から来ないのは、母親も同様である。第三者がしっかり耳を傾けないと声が拾えない。

・初めて聞く子どもの実態に愕然とした。個別訪問が大切であり、家庭の空気や生活環境に触れることで見えることもある。しかし、問題が大きくて簡単に踏み込めることでもないため、聞けば聞くほど難しさを感じる。素人の自分たちがどの部分で関われるかを知りたい。 →専門家でない一市民としてできることとして、まずは気にかけることからでいいと思っている。自分自身を大切にすることが相手も大切にすることにつながるため、自分のできる範囲で気にかけていただけるといい。その意識をもつことが大切。

3.その他

  • その他

■「第3回被災地の現状を知るオンライン報告会」の案内(RSY・浦野)

10月9日(金)18時30分~、7月豪雨水害被災地である熊本県球磨村人吉地区で、炊き出しや生活支援をしている吉村氏をゲストに招き報告会を開催する。ぜひご参加ください。

■「ポストコロナ社会で私たちができることを考える講座」の案内(名古屋市社協・野川氏)

定員を上回る37名の申し込みがあった。10月9日(金)を締め切りとしているが、会場にもう少し余裕があるため、引き続き受付ける予定。広報のご協力をお願いしたい。

https://www.nagoya-shakyo.jp/cms_data/common/news/info_img/0_674_1_1598928514.pdf

4.次回の予定

・日時:2020年10月13日(火)16時00分~17時00分
・次回テーマ:中高生の今「置き去りにされる困窮、学習支援の現場から」
・ゲスト:NPO法人こどもNPO・山田恭平氏

会議レポート