第35回:徳林寺&エスコーラ・ネクター

会議レポート

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●日時:2021年3月9日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB会議(ZOOM)
●参加団体:29団体(運営9団体含む)
●参加人数:34名(運営スタッフ14名含む)

●内容:

1. 情報共有

・NPO法人シーズが、コロナ禍でのNPOの運営に関する情報や全国の事例をExcelでわかりやすいQ&A形式でまとめて発信している。おたがいさま会議も「デジタル化」の事例としてご紹介いただいている。ぜひご覧いただきたい。(コロナ禍NPO等支援策ポータルサイトまとめ:https://www.facebook.com/groups/otagaisama.aichi/permalink/427288165003454/)(コーディネーター・小池)

・外国人の介護問題を考えるイベントが企画されたため、多文化共生リソースセンター東海の土井さんを通じ、11月24の会議日ゲスト・NPO法人東海ファシリティーズの鈴木氏に繋いだ(名古屋市社協・野川氏)

・以前の会議でデンソーの鈴木氏より紹介いただいた「FIND THE TOKAI」を運営している、株式会社好生館プロジェクトの宮坂氏にNPOおたがいさま会議を取材いただいた。本日も会議に参加いただいている。(コーディネーター・栗田)

2. 3月企画「過去の課題提起者の現在」第2弾:相生山徳林寺(天白区)の帰国困難者支援・ブラジル学校エスコーラ・ネクター(豊田市)

■NPO法人多文化共生リソースセンター東海・代表理事、NPOおたがいさま会議コーディネーター・土井佳彦氏

 徳林寺は昨年6月、エスコーラ・ネクターは昨年11月にNPOおたがいさま会議で発表いただいた。今回は2団体の「その後」と、そこから発展した当団体の取り組みをご報告する。

□相生山徳林寺の「その後」 ※前回レポート:https://otagaisama-aichi.xxxx.jp/mtg-5/

徳林寺は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による渡航制限により、母国に帰国できなくなった外国人の方々に対し、住居や食料の支援を行っている。帰国便がない方や日本で暮らす中でコロナ禍により職や住居を失った方々が共同生活を送っている。

昨年6月に、住職の高岡氏と、外国人支援を行っている在東海ベトナム人協会のユン氏からお寺で暮らす外国人の方々の現状をお話いただいた。昨年3月下旬に在東海ベトナム人協会と在名古屋ベトナム名誉領事館から徳林寺に帰国困難となった外国人の方々の受け入れ相談があったことを機に、翌月4月から受け入れを開始。先の2団体と多文化共生リソースセンター東海、檀家、ボランティアらが連携し、寝床や食事の提供、生活相談への対応、帰国手続き等のサポートにあたった。5月12日時点では10名程度だったが、6月16日の報告までには47名(ベトナム人45名、スリランカ人2名)に急増した。本堂の裏に宿泊施設があり、普段は遠方からの参拝客用に設けている場所を共同生活のスペースに使っている。布団などは用意されていたが、歯ブラシなどの生活用品が不足していた。感染防止の観点から、外部の人との接触を極力避ける必要があり、外国人の方々の行動範囲は境内のみに限定している。買い物などは、ボランティアが代理で行っていたが、身動きが取れないことや人と会えないことへのストレスが溜まっている状態だった。夏のピーク時には約60人まで増えたため、外国人の方々は、生活ルールの確認や掃除などの役割分担を話し合う場を設け、共同生活がうまく回るよう工夫していた。そこを下支えするように、高岡住職やユン氏、住み込みのベトナム人留学生(日々の通訳)、地域のボランティア(生活支援)などのコアメンバーも定期的に集まり、ミーティングを行っている。

活動は現在も続いており、今年2月末までに約160名の受入れを行った。大多数がベトナム人で、中には、観光で名古屋に来て未だに帰国できずにいる中国人の方もおられる。従来の支援内容の他に、行政手続きや労働相談、在留資格変更、就労支援も行っている。特に労働相談は、国が避難生活の長期化を受け、一時的な就労許可や在留資格の変更などが行われるようになり、外国人の方々からの相談も増えている。昨年末から給料未払い状態の方も。季節の変化に伴い、冷暖房など生活環境の整備が必要となり、当団体で助成金を活用して対応にあたった。

昨年6月時点では、ほとんど帰国便がなかったが、ベトナムの旧正月(2月12日前後の1週間)にむけて、9月頃以降は毎週のように帰国便が手配された。12月4日には1人を残して、徳林寺にいたほぼ全員の方々が帰国することができた。しかし、日本をはじめ各国に点在していたベトナム人が帰国したことで現地の陽性者が急増し、12月4日~今年2月末にかけ、ベトナム政府は帰国便をほとんど飛ばさなくなり、滞在期間が延ばし延ばしになり、現在は17名が徳林寺に滞在している。徳林寺以外にも、東京や埼玉などでも受け入れるようになったため、受け入れ人数は落ち着いている。なお帰国できるか分かるのは、帰国する2~3日前で、荷物の支度や転出届などの事務手続きが必要に追われるため、慌ただしいが、その度に徳林寺ではお別れ会が開かれ、帰国後もFacebookで繋がり続けている。帰国時には防護服を着用し、帰国直後の2週間はベトナム政府の施設で待機し、さらに2週間の自宅待機を経た1か月後に、ようやく外に出られるようになる。

徳林寺で暮らす外国人の方々は、お寺に恩返しがしたいと、寺内の水道管修理や東屋の増築、敷き詰められた石を砕いて通路をバリアフリー化するなど、日本で学んだ技術を生かして活躍している。年明けには外国人の方々とボランティアが、互いの食文化の違いを感じながら、餅つきや正月料理を一緒に作り楽しんだ。敷地内には、4月の花祭り(お釈迦様の誕生日)にむけ、ベトナムの雰囲気を味わえる屋台ができる場所を増設し準備している。ここ最近は料理ブームで、技能実習で寿司作りを学んだ外国人が野菜寿司を考案し作ってくれたり、食卓に飾り切りされた野菜が並んだりしている。

外部の支援との連携では、以前の会議でも報告いただいた愛知淑徳大学CCCの秋田氏がヒアリングに徳林寺を訪問し、学生たちが自分たちにできる活動として、オンライン日本語教室や交流会を企画してくれた。ここで生まれた交流は帰国後もオンラインで繋がり続けている。その他の大学からも帰国困難となった外国人の状況を知るべくフィールドワークが行われている。

今回の一件について、高岡住職からは、これまで徳林寺に寄せられた多くの物資・寄付、新たな交流が生まれたこと、そして何よりこの問題に多くの方が関心を持ってくださったことに感謝されている。この問題を社会課題として発信することにも尽力されている。こうした取り組みはコロナ以前からで、難民の受入れを行ってきた経緯がある。コロナに限らず、この活動をできる限り続けていきたいと話され、今後は支援される側だけでなく、おたがいさまのような、支援する輪の一つになれたらと考えておられる。また、使いきれない物資は繋がりのある団体へお裾分けしている。徳林寺にいた尼さんが独立して建てられた(ふく)慧寺(えいじ)(稲沢市)にも様々な物資が届くため、外国人に限らず、食料に困っている方々に繋ぐことができる。希望する団体があれば、お声掛けいただきたい。

□ブラジル人学校 エスコーラ・ネクターのその後

※前回レポート:https://otagaisama-aichi.xxxx.jp/post-560/

愛知県内には11校のブラジル人学校あり、約1300名が在籍している。卒後業後も日本で暮らす子供は少なくない。エスコーラ・ネクターは、日本の学校に慣れない子どもや、帰国するまでの期間に母国の教育の受けたい子どもたちなどに対し、学習の機会を提供している。日本の学校法人ではなく、各種学校認可も得ていないが、ブラジル政府からの認可を受けている。授業は全てポルトガル語でブラジルの教育を行うが、日本で暮らし続ける子どもたちのために、日本語教育にも力をいれている。

コロナの影響により、保護者が職を失い、引っ越しや転校を余儀なくされている。食事に困る子どもたちも増え、給食の無償提供や食料配布が行われた。エスコーラ・ネクター 日本語教育コーディネーター・山家氏からは、今ほしいサポートとして、母語教育を受け大人になっていく子どもたちがいることへの理解や学校の周知に協力してほしいと、Facebookへの参加やフォローすることから始めてもらえればと話があった。2つ目に学校で行っている日本語教育は山家氏の独学のため、専門で学んだ方のサポートを必要としている。3つ目に寄付の呼びかけがあり、給食費(年間約120万円)や教材費(1人4万円程度)の負担が難しくなっているとお話いただいた。現状の取り組みや今後の展望なども合わせてお話いただいた。

会議後には、2つの大きな変化が見られた。1つ目は、チャンピオン・オブ・チェンジ日本大賞の受賞。アメリカで始まった取り組みで、4回目となる今回は過去最多となる応募者164名の中からエスコーラ・ネクターの校長先生で山家氏の母・西クレオニセ氏が選ばれ、より多くの方に学校の存在と現状への理解を広める機会になった。(https://www.facebook.com/groups/otagaisama.aichi/permalink/377690416629896/)2つ目は、会議でも提案されたJICA中部と連携した日本語教育の充実を目指した取り組みで、検討が進んでいる。現在、海外で日本語教育の経験を積んだ有資格者3名がエスコーラ・ネクターに通い、サポートにあたっている。来年度には、豊田市や近隣のNPO、外国人雇用する企業などとも連携し、本格的に導入できればと考えており、当団体も引き続き応援していきたい。

□民泊との連携

徳林寺では、外国人の受入れについて一定の条件を設けられており、受入れが難しい外国人の方々もおられる。そこで、訪日観光客が激減し経営が逼迫している民泊業者と連携して、条件から外れてしまう外国人の方々を受け入れるチャレンジプロジェクトを開始した。今回申し出のあった「かさでらのまちビル」は、民泊の他に食堂などもある建物で、笠寺まちづくり協議会を中心となって、様々な取り組みがなされている。具体的には、当団体で民泊の数室を1か月単位で借り上げ、行き場に困っている外国人の方々を受け入れるシェルターとして提供する。すでに外国人の方々から問い合わせが入っている。ただし、受け入れに必要な場所は確保できたが、生活用品が不足する可能性があるため、改めて会議でご相談したいと考えている。

□新型コロナウイルス感染症のワクチン接種開始に伴う多言語対応の取り組み

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種にむけ、予行演習や医療従事者を対象にした試験接種が全国各地で行われている。4月以降、高齢者への接種開始に合わせて、岡山県総社市では多言語に対応したワクチン接種の予行演習が行われた。接種介助として通訳者が同席することで、おおよそ対処できたが、日本語のみの予診票や説明資料には改善の余地がある。厚生労働省でも予診票等を17言語に翻訳する動きがあり、接種開始までに現場に届けられるかギリギリのところ。現時点では、自治体国際化協会が作成した「災害時多言語表示シート」を応用すれば、接種介助におおよそ役立てられるかと思う。ぜひご活用いただきたい。(災害時多言語表示シート:http://dis.clair.or.jp/

3. グループセッションでの意見・感想等(ブレイクアウトセッション全5グループ)

・株式会社デンソー・鈴木氏:民泊との連携は、「困りごと×困りごと」から生まれる問題解決の考え方を学ばせていただいた。コロナ禍を乗り切るためのキーワードだと感じた。今後も様々な事例を情報提供いただけると有難い。

コーディネーター・土井:民泊の取り組みは当初予定していた助成金では、対象期間が合わなかったため、自主財源で賄おうかと検討していた。その矢先、「デンソーグループはあとふる基金」からご寄付いただき、2~3か月分の借料に充てることができた。大変感謝している。

コーディネーター・栗田:今回の会議では、初参加された方(松本市)も見え、土井さんのお話を直接聞きたいと参加された。愛知県内に限らず、全国各地から気軽に参加できるオンラインの良さを改めて感じた。引き続き、ご参加いただければ嬉しく思う。

Vivaおかざき!!・長尾氏:愛知県岡崎市を中心に活動している国際交流NGO。コロナ禍により仕事が減少し困窮する方々の存在を知り、命を繋ぎとめるため最低限必要なこととして、食料支援を昨年6月から毎週行っている。毎回20~30名に提供している食料は、助成金や地元企業の災害用備蓄品の入れ替え品を提供いただいている。最近ではキリスト教教会が人道支援の一環で、その時々に必要な食料を揃えてくださるようになり、継続できている。教会との話では3月末までを一区切りとしており、継続するかは検討中。活動では、来られた方からアンケートを取り、本人の生活状況を確認し配布している。これまで活動を続ける中で、本当に必要としている方へ届けられているのか、当事者の方々の生きる力、自立を弱めてしまっていないか悩むことがある。一方で、食料寄付の中には外国人の方々があまり食べない魚の缶詰などが届くことがあり、扱いに悩んでいる。食料支援はマスコミに取り上げられると反響が大きく、市民からの問い合わせにスタッフが対応に追われることもしばしば。人手や物が不足して困っているというより、今取り組んでいる活動に対して、何を目的にどこまで取り組むのか、支援の根本的な部分で悩んでいる状況。食料支援は5月末まで継続できるよう調整している。

コーディネーター・栗田:非常に重要なご指摘。活動本来の目的は、物を配るだけではない。その先にある草の根を分けて聴こえてくる小さな声に対して、今何をしなければならないのか、さらに議論していく必要がある。同様の悩みを抱えている団体は他にもいるはずなので、ぜひじっくりお話いただく機会を設けたい。

中日新聞社・大森氏:寄付募集の記事は、どのような内容で掲載されているのか。

Vivaおかざき!!・長尾氏:取材時に必要でない物も合わせてお伝えし掲載いただいてるが、読み手によって、正しく情報を受け取ってもらえないことがある。使用済タオルなどの不用品も届いており、モラルの問題もあると感じている。

4. 次回の予定

日時:2021年3月16日(火)16時00分~17時00分
テーマ:置き去りにされる中高生の貧困(その後)~学習支援の現場から~
ゲスト:山田恭平氏(NPO法人こどもNPO・学習支援事業責任者・副理事長)

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